抜毛症

抜毛する自分を許すフェミニズム

社会の中のわたし

時代、社会、地域の風習、家族構造の中で自分がどういう場所にいるのかを知ることってとても大事な気がするのね。大きな視点から捉えれば、私が困っていること、苦しんでいることは本当は自分のせいじゃないかもしれない。自己責任だと言われていたことは、社会の責任でもあるかもしれない。

たくさんの物語に触れることで、自分で描く地図のピースがひとつづつ埋まっていくような感覚になる。

『愛という名の支配』(田嶋陽子著)

あらすじ:どうして私はこんなに生きづらいんだろう。母から、男から、世間から受けてきた抑圧。苦しみから解放されたくて、闘いつづけているうちに、人生の半分が終わっていた。
自分がラクになるために、腹の底からしぼりだしたもの──それが“私のフェミニズム”。
自らの体験を語り、この社会を覆い尽くしている“構造としての女性差別”を解き明かす。
すべての女性に勇気と希望を与える先駆的名著。(アマゾンより

Genaのおすすめ▶︎日本でフェミニズムを大衆に届けた先駆者の一人、田嶋陽子さんの著書。92年生まれの私が読むと、正直若干の世代間ギャップがある。だから他の物語のように「これは自分の物語だ!!」とは感じなかった。でも読み進めるうちにもしかして母は、祖母は、こう感じていたのかもしれないと想像するようになった。

 

『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著)

あらすじ:ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかの様子のキム・ジヨン。
誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児……キム・ジヨン(韓国における82年生まれに最も多い名前)の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。(アマゾンより

Genaのおすすめ▶︎これは韓国で大ブームを巻き起こした小説。ある日、全てのことが積み重なったかのようにキム・ジヨンは調子を崩す。義理の家族との関係、家庭内での男女差、歪な社会構造がジヨンだけではなく、ジヨンの母、祖母の代まで遡って語られる。この物語の中では男性の登場人物には一切名前が与えられない。時々、女性が妻や母や娘としか呼ばれないことへの仕返しのように見える。最後、この物語がジヨンのカウンセリングでの内容を書き取ったものだということが明かされる。ここまで詳細に聞き取ったからには担当の男性医師も少しはジヨンの葛藤を理解しただろうと思ったけれど、その期待は吹っ飛ぶ。ビンタをされたようなぐらいのショック。でも現実ってこうだよねって、痛烈に描き出した作品。

 

『持続可能な魂の利用』(松田青子著)

あらすじ:この国から「おじさん」が消える――
会社に追いつめられ、無職になった30代の敬子。男社会の闇を味わうも、心は裏腹に男が演出する女性アイドルにはまっていく。新米ママ、同性愛者、会社員、多くの人が魂をすり減らす中、敬子は思いがけずこの国の“地獄”を変える“賭け”に挑むことにーー(アマゾンより

Genaのおすすめ▶︎残念ながらこちらは未読です。でも気になる。タイトルのセンスに痺れるよね。パワハラにまじで苦しんでいた時期があった私としては、「おじさん」「持続可能な魂」というキーワードに反応しないわけにはいかなかった。 

母と娘

私がフェミニズムと抜毛症を結びつけて考える理由の大きな一つに、親子関係というのがある。

母親が娘の抜毛になんらかの影響を及ぼしている/原因になっていると考えているから。

そしてフェミニズムにおいても母と娘という複雑な関係は、大きなテーマになっているみたい。

往復書簡 限界から始まる (上野千鶴子 , 鈴木 涼美著)

あらすじ:「上野さんは、なぜ男に絶望せずにいられるのですか? 」
女の新しい道を作った稀代のフェミニストと、その道で女の自由を満喫した気鋭の作家が限界まできた男と女の構造を率直に、真摯に、大胆に、解体する。(アマゾンより

Genaのおすすめ▶︎言わずと知れた女性学の第一人者である上野さんと、慶應大学から東大の院へ進み、かつAV女優として活躍していた鈴木さんの往復間書。ドイツまで持ってきて今まさに読んでいるところなんだけど、鈴木さんの生い立ちや「聡明な」お母さんへの反発の仕方にはすごく共感するものがある。お母さんは高名な児童文学の研究者で、子供のやることなすこと全てがお母さんに観察されているようだったと。結果として鈴木さんはお母さんが最も忌み嫌う職業に就くことになる。鈴木さんはこの共著の中で初めてこんなにご自身のことを書いたのではないかな。

母娘関係のほかにも、興味深いテーマがたくさん。じっくり読み進めようと思う。

 

『坂の上の家』(角田光代著)

 

あらすじ:愛の娘を殺した母親は、私かもしれない。虐待事件の補充裁判員になった里沙子は、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、いつしか彼女の境遇に自らを重ねていく。社会を震撼させた虐待事件と〈家族〉であることの光と闇に迫る心理サスペンス。(アマゾンより)

Genaのおすすめ▶︎これから読みたい本。パートナー推薦。Amazonoのレビューを見ただけて心を掻き乱されている人たちが多いのが分かる。家族って本当に複雑だよね。「仲がいい家族」の存在を私は信じていない。

 


たくさんの物語を挙げてみたけれど、いかがだったでしょうか?

気になるものがどれかひとつでもあったら嬉しいな。

フェミニズムの本は特に、自分の血となり肉となり、自分が健全に自立するために必要なパーツになると思う。

私にはもう少しそれが必要で、これからも読んでいくつもり。

溜まった頃にまた更新します!