私と髪の毛を抜く癖の付き合いはとっても長い。今でもはっきり覚えている。それは小学校5年生の冬に始まった。
小学校に入ってから極めて平和な日常を過ごしていたが、それが初めて壊れたのがその年だった。
2学期に入った頃から学級崩壊が進み、冬頃には授業が度々中断されるような状況になっていった。そんな環境ではもちろんいじめも横行していて。
私はクラス内の上位カーストにぎりぎり食い込んでいたけど、立場は危なかった。
詳細は省くけど、以前から折り合いの悪かった女子に定めをつけられて、なんだかんだと嫌がらせが始まった。
グループ内でも、仲は良かったけど見えない上下関係が確実に存在して、そんな中での人間関係に疲れていった。ものすごくストレスだった。
彼女がグループ内でもやや嫌われ気味の女の子を通して、「頼むから死んでくれ」と伝えてきたことは忘れられない。メッセンジャーにされてしまったその同級生の泣きそうな表情も。
未だに彼女らのフルネームを覚えている。
私はこのころストレスという言葉を知らなくて、知らないものは自覚できるはずがない。
自覚できなければ、自分の心の状態も把握できないし、対処なんてしようがない。
11歳の私にできるのは黙々と髪の毛を抜くことだけだった。
初めてやったのは祖母のうちで。なぜそんなことをしようと思いついたのかは全然わからない。
小さなチクリとした痛みが心地よくて、やめられなくなった。
あのときなんの気なしに始めたことに、大人になってからもこんなに苦しめられるなんて思ってもみなかった。
でもあのときは自分でなんとか紛らわせるしかなかった。
誰も助けてくれなかったから。
家族の中に抜毛症患者がいる方へ
もし小学生や中学生のお子さんの親で、子供にこういう行動や見られるなら、すぐにカウンセリングや病院に連れて行ってあげてほしい。
髪を抜くという行為は、よく言われるような「癖」なんかではなく、心理的なSOSだから。
やめなさいといわれて意志の力でやめられるものではないとも思う。
その行為自体を否定しないで、根本的な治療にたどり着けるよう助けてあげてほしい。
27歳まで抜毛症が続いている、私からの個人的なお願いです。