2021-06-20
今年で抜毛18年目になる。
まさかこんな長い付き合いになるなんて、こんな人生のテーマみたいになっちゃうなんて、
ほんとに思いもよらなかったよ。
私は29歳になった今でも髪を抜いている。実家も出たし、パートナーともめぐりあい、気楽に仕事をしているのに。
ただ私の抜毛は昔とは随分違っていることは確か。
抜毛のパターンの変化では
- 抜く本数が圧倒的に少なくなった
- コントロールできないぐらい抜毛に没頭する機会がほとんどなくなった
精神的な変化では
- 自分が抜毛症であると、そのことによって大きな影響を受けてきたと認められるようになった
- 自分自身や病気について理解したことで、抜毛症であることは「自分史上最大の恥」ではなくなった
昔は本当にコントロールできなくて、ストレスでぐちゃぐちゃになりながら抜いていた。
「お願いだから誰か助けて」
そう思いながら自分では手を止めることができずに抜いていた。
なんとか抜けだ出したくて、手探りでいろいろ試した結果、こんな状態まで持ってこれた。
人間というのは変化する生き物なんだなぁと初めてそんなことを実感する。
今日のブログでは、慢性化してしまった抜毛症との上手な付き合い方として、私のしたことを紹介するね。
あくまで「私の場合は」なんだけど、案外真理に近いんじゃないかな、とも思ってる。
1.自分にとってのストレス根源を探す
まずは自分のストレスをきちんと把握すること。
そしてそのためには、「自分の感情を探す」必要があると思う。
自分では自分の感情を把握していると思っていても、本当の感情を押し殺して育ってきた人は多いと思う。
私もそのつもりだったけど、臨床心理士の先生と話していて、
「そのときどういう感情だった?」という質問に答えられないことがよくあった。
「~~したい」より「~~べき」という言葉遣いが多い人は要注意じゃないかな。
自分がどういうときにストレスを受けているか、やりたくない、ここにいたくないと思っているか。
まずはその状況を見極めること。
見極めようとするとき、疑問がたくさん出てくると思う。
例えば「なんとなく嫌な気持ちになる」(理由がわからない)とか「(普通ではない)自分が悪いだけなのではないか」という疑問。
その疑問は正しくて、きちんと紐解いていくことで自分の置かれている状況の理解、自分自身への理解につながると感じている。
自分の特性や家族について(ときには親のおいたちなんかも)、自分以外の目線からみて、きちんと捉えることは難しい。
とても難しかった。
そういうときに助けになってくれたのが、本や映画だった。
(役に立った映画や本はまた別に投稿するね)
2.ストレスから物理的に離れる
1で見つけた見つけたストレスの元から全力で離れる。
例えば、過干渉な実家、ブラックすぎる職場、有毒な人間関係など。
自分を惨めに感じる環境、過大な負荷をかけて成長しようという風潮、誰もが無関心で無責任で死んだような集団、そういうところから全力で脱出。
多少金銭的に厳しくても、ここは頑張る価値アリだと思う。
その後人生を立て直せたらお釣りが来るぐらいだと思ってるし。
私はこの整理の過程で多くのものを手放した。
実家を出て、社会人サークルに入り辞め、転職をした。
親しかった学生時代からの友人とも距離を取ったのもこのとき。
私は彼女のことを心置きなくなんでも話せる姉妹のような友人だと思っていたけれど、ずっとどこか見下されていたんだと思う。
3.自分を満たす
ストレスから離れられたあとにすること:これまで後回しにしていた自分を満たすこと。
素敵だと思っていたけれど、自分には必要ではない、見合わない、他に優先するべきことがあると諦めてきたことを始めてみる。
例えば、一人の静かな時間、美しいネイル、美術館や好きな場所に行くこと、心ゆくまで買い物する(自分の憧れていた服など)、部屋の照明を海外のおしゃれな部屋みたいに変える、観葉植物を育てる。
ずっと後回しにしてきたこと、いつか余裕ができたらやろうと思っていたこと、何でも。
まずは自分を満たすために、自分だけの時間、お金の使い方を楽しむ。
自分を優先させる贅沢。日本女性ってすごくそこを蔑ろにしやすい。
私は今髪の毛を好きな色にして、ネイルにも通っている。
鏡や指先をみるとき、いつも幸せ。
自分の経済状況を考えたらこんなところにお金をつぎ込める余裕なんてないんだけどね。
でも1年ぐらいは、そういう出費の優先度を上げて、自分を満たす目的を達成しようと思う。
続けることで、私はいまよりも満たされて、必要とするものが減るんだと思う。
(もちろん余裕があったらその後もぜひ続けたいけどね!)
自分を満たすことの必要性について
なぜ自分を満たすことが必要なのかと聞かれれば。
それは物理的な療法(抜毛阻止)がほとんど効果がないから。
なぜ髪を抜きたくなるのかという根本的なところに向きあったほうが、遠回りに見えても効果的。
急がば回れってやつ。
このことについては、ベテランの抜毛症の方は気がついている人も多いと思う。
抜毛症が長期化したことでなんのストレスがトリガーになっているのかが見えにくくなるし、そのうちの一つを減らしたぐらいでは抜毛はやめられなくなる。
大きなストレスからは逃げること、そして自分を満たす行動を取ることはセットで相乗効果があると思う。
4.自己認識を変える
そうやって環境を整えて、心を満たそうとする行動が少しづつできてきたら
最後にやるべきなのは自分自身の「自己認識」を知ること。
抜毛症と自己認識の歪みについて
本題に入る前に、私の仮説を聞いてくれる?
まず、「抜毛症が慢性化してしまう悪循環」が存在すると思ってるの。
精神的な悪循環:ちょっとしたストレスを受ける→髪を抜く→罪悪感・落ち込み→それがストレスになる→また抜く
身体的な悪循環:髪を抜いたところにバイキンが入る→頭皮が腫れる→気になって触って抜いてしまう→腫れが収まらない→また抜く
これが組み合わされる事によって、延々と抜毛が続いてしまう。
そして抜毛を始めた当初は明確だったストレス源が曖昧になり、抜毛が長期化するにつれて生活の中に組み込まれていく。
大小様々なストレスを受ける=抜毛行為でやり過ごす ことが習慣化してしまう。
この悪循環の行き先がどこだかわかる?
それは希死念慮や自殺願望といったこと。
ちょっと極端に聞こえるかもしれない。
でも長期の抜毛が自己認識を歪め続けた結果のひとつであることは間違いないと思う。
Twitterの抜毛症のアカウントの方々を見ていても、そこにたどり着いている人がかなり多いように見える。
例えば私の場合、抜毛がどんな自己認識の歪みをもたらしたかというと
・自分の身体は傷つけて構わない
(ピアスやタトゥーへの抵抗感ゼロ、ささくれは逆剥けにする、かさぶたも剥がす、怪我や血、傷跡を気にしない)
・私は痛みに強い
(ちなみなこれは背中のタトゥーを入れたときに吹き飛んだ。激痛の20時間。やめられるものなら途中でやめたかった。でもこの経験で自分が痛みに強くなんてないということに気がついた。とんでもねぇ荒療治だったけど、効果抜群)
・健康な身体に傷んだ魂が入ってる
他者から植え付けられた自己認識
そして他者から植え付けられた有害な自己認識もある。
例えばそれはこんな感じ。
・私はがさつで繊細な機微の求められる仕事ができない人間だ
・私はプッツン切れる
・私は薄情だ
これらはパワハラ上司や母の言葉だったけれど、次第に私は自分がそういう人間だと信じるようになった。
ほとんど無意識のうちに。
映画のインセプションみたいに意識の深い領域に埋め込まれたそれは、行動の指針や自分自身への扱い方にあらわれてしまう。
だからここを変えていくのはすごく重要なこと。人生も変わるんじゃないかって思う。
抜毛症によって歪んだ自己認識、心無い他者からうっかり受け取ってしまった認識を、返す必要がある。
ここが最後の山場で、私も今がんばってるところ。
ポジティブな自己認識を掘り起こす
それから、いらない認識を捨てると同時に、補ってあげる部分も必要で。
自分のいいところを人に聞いたり、自分に聞いたりして書いてみてる
例えばね、
・思慮深い
・反骨心がある
・親切、面倒見がいい
・情緒豊か など。
なりたい自分としての自己認識を補強する
そしてその先、自分がなりたい、目指したいと思うイメージを足していく。
私だったらこんな風に。
・私の精神と身体は強くて美しい
・私は満たされている
・私の精神はとても安定している
・私は新しいことに挑戦できる
・私は私の望むものにふさわしい
これこそわたしの望むもの。
こういう自己認識のある私が、髪を抜いているところはまったく想像できない。
これってすごくボディポジティブの考え方とつながると思う。
ここに書いて初めてこの流れを言語化できたな。
私は今、この方面に向かって歩いているところ。セルフラブジャーニーの途中にいる。
抜毛症のあなたや私は、これまでの人生で充分苦しんできた。
その苦しみや葛藤を力に変えて。私たちならきっとできるはず。
自分を醜いと思って生きるには、残りの人生はあまりに長い。
そう思わない?
2022/4/22追記
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