<目次>
- 前書き
- 自分の身に何が起きているのかを教えてくれる物語たち
『あたしたちよくやってる』(山内マリコ著)
『夏物語』(川上未映子著)
『飢える私――ままならない心と体 』(ロクサーヌ・ゲイ著)
映画<ミレニアム>ドラゴン・タトゥーの女 - 社会の中のわたし
『愛という名の支配』(田嶋陽子著)
『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著)
『持続可能な魂の利用』(松田青子著) - 母と娘
『往復書簡 限界から始まる』 (上野千鶴子 , 鈴木 涼美著)
『坂の上の家』(角田光代著)
ドイツに来て1ヶ月たったGenaです。
その間、先日のNHKの放送があり、多くの方に見ていただけたみたい。
私の親戚中にもそのニュースが広がったらしく、NHKの影響力すごさを実感する今日この頃です。。。(おばあちゃんにも見つかっちゃったよ。。)
メディアへ露出したこともあり、最近よくDMやコメントを貰うようになった。
苦しい胸の内を明かす言葉たちを私はじっくり読む。
その中には「Genaさんのように自分を大事にできない」
というものがあって胸が痛んだ。その気持ちもとてもよくわかると思った。
抜毛をコントロールできずに続けるうちに、自分のことを見捨ててしまうような気持ちが芽生える。軽度のセルフネグレクトといってもいいかもしれない。
そういう状態は、自分を大事しようと思うことと対極にある。
私もその極地にずいぶん長いこといた。10代丸々と20代の数年間。自分の人生の半分以上。
でもそこからいろんな転機があって、少しずつ気持ちが変わってきた。
パートナーと出会ったこと、カウンセリングを受けたこと、仕事をやめて社会と少し距離をとったこと。
これらはこのブログでもインタビューの中でも度々言及してきた。
でももう一つ、大事なことを忘れていた。それは私を救ってくれた数々のフェミニズムの物語たちとの出会い。
自分だけの苦しみだと思っていたことを、先に生きた誰かが言葉にして残している。
誰かの物語を追体験し、さらに私がまだ生きていないこの先の人生を見せてくれる。
私の母の世代の、祖母の世代の女の人生を見せてくれる。
全く同じ体験をしたわけではないのに、不思議なほど共鳴する。
フェミニズムの物語とは、別の自分の人生を垣間見ることで、母や祖母の時代の生をみることでもある。私たちの持つ苦しみは、
もしかしたら命と共に祖母から母へ、母から私へ引き継がれてきたものですらあるかもしれない、と思う。
苦しみが自分だけのものではないと思えること。意外な共通点を見つけることで、これまで個人的な問題だと思ったことが、社会や家庭内の構造のせいなのではないかと疑えるようになること。自分を責めなくてよくなること。
私にとってのそれは、集団の中でどうしてもうまくやっていけない自分や、日本社会での基準の普通になれないこと、髪を抜き続けてしまう自分を許してあげることだった。
これまで強く自責していたことを許してあげることで、肩の荷を下ろせる。
すごく重かったよね。本当はそんなのあなたが背負わなくてもいい荷物だったんだよって。きちんと認識し直すことでもある、
重い荷を下ろして、私たちは自由になる。
次のページでは、私を救ってくれた物語、お気に入りの物語を紹介していこうと思う。